銀行と消費者金融業者の提携が進んでカードローン業界は一変したとも言いますよね。でもそのような提携によってカードローン審査に通りやすくなったとはいえるのでしょうか。(参考ページはこちら→融資審査基準は昔から変わった?)
提携は資本や経営に及び、カードローンの審査基準が拡大しました
カードローンを申込もうと思うと、銀行をはじめ消費者金融業者等も多くカードローンを発行しており、一つを選ぼうと思っても迷うばかりになってしまいます。カードローンのスペックとして利用限度額の大小や設定金利の高低を比較することは当然参考になるでしょう。しかし、銀行と消費者金融業者との関係はいままでになく複雑に絡み合うようになってきました。この事情を知っているのと知らないのとでは大違いの結果にも。
銀行と消費者金融業者の提携パターンを分類するとカードローンの審査の難易度も相対的にわかりやすくなってきます。カードローンの発行会社を分類するためには大まかに5つのケースを想定することができます。それは銀行単独によるカードローンから消費者金融業者単独によるカードローンまでを含んで、それぞれの提携状況によって判断することができるはずです。
銀行が独自の基準でカードローンを発行する場合、これは純粋に銀行カードローンということになります。銀行が自らの基準で無担保・無保証人による個人ローンを提供しています。ですから審査基準は従来の銀行の審査基準ということになり、利用者サイドにとっては必ずしも使いやすいカードローンとはいえないかも知れません。この種のカードローンを発行している銀行は今や少数派だということになっています。
そして消費者金融が銀行の一部門になってカードローンを発行している場合があります。かつては有名な消費者金融業者であった会社が現在は銀行の一部門としてカードローンを発行しているのです。このカードローンは銀行が発行しているものの、審査基準は完全に消費者金融業者のノウハウを継承してることが推定できます。これによって銀行が発行している消費者金融のカードローンを実現できたと言っても過言ではないでしょう。
その他、消費者金融業者が銀行カードローンの保証会社を受託する場合が一般的になってきました。消費者金融業者が保証会社として参加することで、カードローンの発行元である銀行はリスクを回避することができるようになります。そして保証会社はリスクを受け持つ代わりにカードローン発行の審査を担当することになるのです。これによって銀行系カードローンは遥かに審査に通りやすくなったということができるでしょう。
消費者金融業者が銀行グループに参加する方法も取られるようになってきました。消費者金融がカードローンを発行する際の経営資源をこのグループ参加によって確保することができるのです。この経営革新によって消費者金融業者はより多くの資金をカードローンによって安定供給することが可能になります。結果として消費者金融業者はカードローンのサイズを大型化し、審査基準を引き下げることが可能になりました。
消費者金融業者が単独でカードローンを発行する場合も残されています。もはやカードローンを発行している消費者金融業者としては少数派です。銀行との提携関係はありませんから、時代の流れに影響を受けないかのようですが、同業他社の拡大する営業は大きな圧力となってこの種の独立系消費者金融業者のカードローンに働きかけており、よりいっそう積極的な経営が求められることになったのです。
銀行と消費者金融の提携で、どう変わった?
最近の消費者金融といえば、人気女優を起用したテレビコマーシャルなどで、一般的にも「健全性」や「優しさ」のイメージが浸透してきたのではないでしょうか。若い世代では、消費者金融の商品を利用するのに、抵抗を持たない方も多いようです。
しかし、少し前の消費者金融は、「サラ金」と呼ばれ、殺伐としたアンダーグラウンドなイメージでした。高い金利で貸し付けを行い、少額の債務があっという間に膨れあがって、元金の返済ですら難しくなる仕組みになっていました。延々と利子分を回収して、利益をあげるような図式になっていることも珍しくありません。債務者からすると、働いても働いても、借金が減らないどころか、多くの場合は、借金が増えていく状況になるのです。返済が滞ると、提携している暴力団などに催促を依頼し、暴力や恐喝といった手段で回収することも少なくありません。サラ金=ヤクザのイメージは、ここから来るもの考えられるでしょう。
それでも、サラ金は建前上「法を守って経営されている企業」であり、暴力団自体が経営していることは少なかったようです。出資法で定められた「最高年利」よりも「高い金利」で貸付を行う金融会社は、「闇金」と言われる違法なものです。多くの場合、暴力団ややくざが関係していると考えられ、現在でも存在しています。恐喝や暴力での催促は、貸金業で規制されるようになり、サラ金(金融業者)が乱暴な方法で取立てを行うことはなくなりました。
サラ金が問題視されていた点には、グレーゾーンと呼ばれる、利息制限法について守られていない金利での貸し付けでした。この範囲での違反には罰則がなかったため、堂々と行われていたのです。一応、債務者からの返還請求があれば応じられてはいたものの、一般的にはグレーゾーンについての理解度が少なく、債務者の借りているという申し訳なさの心理からも、実際に返還請求が行われるケースは少ないものでした。
貸金業規制後でも、こうした習慣は長く残り、古い側面から抜けきれずに、大手の消費者金融でさえも業務停止に追い込まれたのです。業界ナンバー1だった武富士も、可愛らしいテレビコマーシャルで有名だったアイフルも、馴染みのあるアコムやレイク、プロミスも、グレーゾーン金利による過払いの返還請求が多額にわたり業績が悪化したり、金強引な営業活動や、乱暴な取立てを行っていたことから、2006年頃から近年までに相次いで業務停止を受けました。どの金融業者も、その名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。もちろん、倒産した金融業者も多くありました。
貸金業規制が徹底されるようになり、消費者金融は業務体質の大きな変更と、建て直しの方向転換を進めることになったのです。経営状況が苦しくなった金融業者は、アイフルのように独立を貫いている会社もありますが、多くは、銀行と提携や傘下に入るかたちで襟を正しました。銀行側では、カードローン業務の立ち上げを模索していた時期で、ノウハウを持つ消費者金融との提携や買収は望ましいものでした。
銀行と消費者金融の提携で、どのように変わったのでしょうか。貸金業法の改正なども重なり、企業体質や事業内容、商品改善まで、その変化は大きなものになりました。まず、銀行傘下による経営になった事実から、そのイメージが良いものになったことは違いないでしょう。実際に、法律がきちんと守られるようになり、安心して借り入れができるもにになりました。また、新しい商品やサービスも充実しています。
現在では、一般的にも「銀行の商品だから安全であり、安心して気軽に利用できる」といったイメージが浸透しました。印象改善は成功したと言えるでしょう。実際に、その体制や業務内容も、消費者にとって好ましいものへと改善されています。
「金利改善とサービスの徹底」
利用限度額が500万円までとなり、1万円単位の小額からも借り入れができるようになりました。金利は4.5%から18%までと定められ、低金利になったことから安心して利用できます。返済方法もいくつか用意されていることが多く、月々数千円からの返済も可能です。契約の申し込みは、無人機やインターネットで、手軽に手続きすることができます。審査や振込みのスピードも速くなり、即日対応しているところも少なくありません。提携ATMがあれば、どこでも返済することができます。借り入れ30日まで無利息、といったサービスも提供されています。
審査についても、むやみに契約を取り付けることはなく、希望の借入額が小額である場合は、申し込みに必要な書類などを必要としない場合もあります。
借り入れしやすくなっただけでなく、低金利やサービスの充実により、状況によって様々な借り入れプランがたてられ、無理のない返済が可能になりました。
「法律の遵守で、安全で安心して利用できる環境」
「銀行」という名前には、信頼と信用があるのではないでしょうか。実際、銀行が一番大切にしているものであり、傷がつけば、あっという間に大問題へと発展します。銀行が持つ、法律を確実に守るという信頼性は、提携した金融業者のイメージをも大きく変えることができました。違法な取立てなどから、債務者が守られるように法が定められています。これによって、乱暴な取立てなどのイメージは払拭されたと言えるでしょう。具体的には、以下のような貸金業法があります。
1、契約者の情報等を、第三者に知らせることができません。
これにより、会社や家庭で「契約者本人」以外の人物には、消費者金融からの借り入れがあることなどを知られることはありません。契約時の審査で必要な、在籍確認の電話でさえも、消費者金融は会社名を名乗らないのです。たいていは、審査する担当者の個人名で電話がかかってくることになるでしょう。
2、契約者の勤務先へ、返済の催促をすることはできません。
契約者の事情によって、返済が遅れることもあるでしょう。その場合でも、契約者の勤務先まで催促することはできません。やむをえない状況でない限り、訪問はもちろん、電話をすることもないでしょう。やむを得ない状況とは、契約者本人と長期間、連絡が取れないといった場合です。
3、もちろん、乱暴な取立てはできません。
暴力や恐喝はもちろん、遠まわしな脅しや催促をすることを禁じられています。また、契約者の自宅へ訪問や、電話やファックスによる催促は、一日に3回まで、朝8時~夜9時までと決められています。定められた時間内であっても、契約者が「連絡がある場合は、何時から何時まででお願いします」と伝えることで、それ以外の時間に連絡することはできなくなるのです。
銀行の提携によって、これらの約束事が「きちんと守られる」という安心感が得られる事実は、利用者が金融業者に信頼を持つことに繋がりました。消費者金融は、以前よりも身近なものになったと言えるでしょう。
とはいえ、いまだに金融業者に恐ろしいイメージを持っている方は多く、急にお金が必要になったときでも、消費者金融を利用することに抵抗を持つことがあるでしょう。そのような場合は、銀行の名前がついている金融業者を選択肢に入れるのはいかがでしょうか。自分の状況に合った借り入れ額と、返済計画をきちんと立てることができれば、キャッシングサービスはとても便利なものです。やむを得ない状況で、返済が少々遅れたとしても、その催促は業務的で淡々としたものになります。
万が一、乱暴な取立てにあうことがあったとしても、それは「貸金業法」に違反しています。法的にも、すぐ止めさせることができるでしょう。
ただし、銀行に「似たような」名前がついている、あるいは勝手に使っている、悪質な業者が存在しているので注意しましょう。心配な場合は、申し込みをする前に、「貸金業登録」が行われているか確認することが大切です。