消費者金融には貸し付けや取り立てに関しての、守るべき法律が数々あります。その範囲を超えた営業を行うと、正規の消費者金融として営業はできなくなります。いわゆるヤミ金と言われる業態になってしまいます。例えば法律で定められている上限を超えた金利で貸し付けることは禁じられていますし、消費者金融を含む貸金業者は総量規制の範囲を守った貸付金額に収めねばなりません。

現在金利は10万円未満は年利20％、10万以上100万未満で18％、100万円以上で15％が上限と決められています。ヤミ金が高利貸しと言われるのは、これを超える金利で貸し付けを行います。また総量規制が定めた年収の3分の1の範囲を守って貸し付けることもしません。そもそもこれを守るつもりであれば、正規の登録業者となって業務を行えばいいのです、貸金業の登録を取ることは、それほど難儀なことではありません。あえてせずにヤミ金としての道を選んでいるということは、法律に反した暴利を貪ろうと、始めから決めているということになります。こういったヤミ金はいわゆる「ブラックok」といった文言で、利用者を募ります。

正規の貸金業者では審査が通らないであろうという人がヤミ金に駆け込んでしまい、被害が拡大しています。しかしその前に、何が原因で審査に通らないのか、どの程度のブラックであるのか、それを自分自身で確認してみましょう。ブラックの内容によっては、正規の貸金業者を利用出来る可能性は十分あります。

グレーゾーン金利の撤廃や総量規制、取り立てに関する法律の強化によって、消費者金融は大きな営業方針の改革が求められました。その結果、業界は二極分化する傾向に至りました。大手の消費者金融は銀行などとの提携によって、手堅い属性をターゲットに、お互いの信用を末永く作り上げてゆく方向にシフトし、中小消費者金融は、そこからこぼれてしまった属性をターゲットに営業展開する方向を選択するようになっていったのです。

グレーゾーン金利について批判は多かったものの、「通常金利では貸し付けが行えないリスキーな属性」に対しても積極的に貸し付けが行えていたのは、グレーゾーン金利があったからこそです。法定金利は、当時の銀行が採用しているような審査基準でなければ、営業が成り立たちません。無担保保証人不要で即日融資を実現するには、その金利が必要でした。それが法律によって規制されたのであれば、もはや今までと同じような審査基準で貸し付けることは出来ません。

大手の貸金業者は今までのようなリスクが多い属性に貸し付けることを辞め、金利に見合った安全性の高い属性の申込者を囲い込むことにしました。また銀行との提携によって潤沢な資金を手に入れ、大口融資にまで対応できる体制を整えました。銀行カードローンの保証会社となることで、間口を広げました。CMなどで「はじめての」という文言を使っている消費者金融が見られますが、これは現在大手消費者金融が目指すところの営業方針を顕著に表しています。

中小消費者金融は、これら大手のように、銀行との提携は望めません。廃業するか、新しい法律を厳守してこのまま消費者金融として営業を継続してゆくか、二者選択を迫られたのです。

グレーゾーン撤廃や、それに伴う過払い金の返還、総量規制などによって、消費者金融は打撃を受けました。その混乱期以前に営業していた中小消費者金融業者は、「大手と変わらない審査基準」のものと「過去を問わない審査を行う」ものとに分かれていました。大手と変わらない審査基準の中小貸金業者の場合、自社の申し込みが3社目4社目であっても受け付けるというところが、大手とは違っていました。しかし過去に破産などによって債務整理をしたであろう人に対してシビアであることは変わらず、否決する傾向にありました。そういった貸し付けを行っていたために、膨大な過払い金返還請求を受けることとなったのです。これにより廃業を選択した業者が、多数生まれました。

しかし「過去を問わない審査」によって貸し付けを行っていた中小貸金業者の場合には、「こことの付き合いができなくなると困る」といった利用者が比較的多く、過払い金返還請求を受けることも少なかったのです。そういった業者の中には、この混乱期を乗り切ることができたのです。今も営業している中小の貸金業者の多くは、「過去を問わない審査」を実施しています。

「過去を問わない審査」はイコール「ブラックok」ではありません。ブラックと一般的に言われるのは、過去に破産などの債務整理をした人、現在多重債務者である人、現在債務事故を起こしている人、総量規制の範囲をすでに越えているなどがあります。このうち「過去を問わない審査」を行う貸金業者は、「過去に破産などの債務整理を行った人」だけが、問題がない人と共に審査対象となります。現在の状況がブラックの人は、審査に通過することはありません。過去には寛容であっても現在の状況については大変シビアです。審査で求められる書類関係も大手より多く、かえって大手の審査よりも厳しいといった印象です。それでも大手のように「過去」が原因で門山祓いするということはありません。ただし、初回貸し付けはかなり小口になりますし、返済方法も元金均等返済です。返済毎に返済した元金を自由に借り入れできるということもありません。

このように過去に関して寛容な審査を行う消費者金融でも、HPなどの広告で自ら「ブラックok」と明記することはありません。「現在の状況から判断し」といった、マイルドな表現をしています。「ブラック」という文言自体、正しい表現ではありませんので、それを正規の消費者金融が使うことはないのです。もしチラシなどで「ブラックok」「総量規制関係なし」「独自審査」「審査なし」などと書いているならば、それはヤミ金や悪徳消費者金融の可能性が高くなります。警戒しなければなりません。

貸金業者であれば総量規制の法律は厳守しなければなりません。金融機関の中で無担保保証人不要でありながら、総量規制の対象外となる代表的なものは銀行です。貸金業者なのに総量規制関係なしと書いているなら、その時点ですでに違法業者と判断することができます。また「審査なし」もありえません。法律によって所定の書類による本人確認が義務付けられていますし、審査なしで誰にでも貸し付けを行なっていれば、それだけ業者側も焦げ付きのリスクを負います。

もしそれでも貸し付けると言っているのであれば、取れるところから取れるだけ高利を取ることで、リスクを軽減させるしかありません。取り立てに関しても、法律を守った取り立てでは、到底回収することはできないでしょう。ｓれでも銀行のプロパー融資を下回るような「低金利」と、大手の金融業者の貸付限度額を上回るほどの貸し付け枠をセールスしているチラシなどは、集客のための「釣り文言」です。その言語に釣られて申し込みを行って来た人の個人情報を収集し、詐欺行為を仕掛けるか、次なる詐欺のための名簿を作っていると考えられます。

全国にはそのような詐欺の被害者が増加しています。追い詰められた末に自らも口座や携帯電話を売るような犯罪を犯し、加害者となってしまうケースも少なくありません。そのようなことに陥ってしまう前に、債務整理を考えるほうが賢明です。

現時点で返済に困り、返済のために貸してくれる業者を探しても、それは大手や中小に限らず「ない」と考えていいでしょう。貸すとすれば、ヤミ金だけです。しかしきちんと専門家に相談し、債務整理を行って解決したのであれば、契約を行う正規業者はあります。もちろん債務整理で解決した後は借金をしないことが一番いいのですが、なにかとアクシデントは起こるものです。その時に大手は余程のことがない限り審査を通過することはありませんが、貸し付ける中小消費者金融はあります。