これまで何回か消費者金融を利用してお金を借りたことがある、大手非鉄金属会社に勤めている38歳の男性社員です。
先日、会社の同僚と話しをしていた時に、申し込みブラックに関する話題が持ち上がったんです…が、私は返済で問題を起こした場合の金融ブラックについては知っていたのですが、申し込みブラックと言うものがあるとは知りませんでした。
そこで申し込みブラックについて教えてください。申し込みブラックって、つまり金融ブラックと同じようなものなのでしょうか?
申し込みブラックでも借入先が無くなりますよ
わかりました。あなたの疑問に答えてみましょう。まず最初に言いたい事は、申し込みブラックと金融ブラックとではやや異なると言うことなのです。しかし、両方とも「消費者金融でお金を借りられない」との点では共通しています。
「金融ブラック」とは、返済を延滞したり、また自己破産や任意整理等の債務整理をしたことが事故扱いとなって個人信用情報機関にブラックとして名前が登録された人を指します。
そして、金融ブラックになると、返済の延滞の場合は3年~5年くらい、債務整理の場合は5年~10年くらいは個人信用情報機関にブラック登録が残って、その期間はどの消費者金融でも審査に通してくれません。(参考ページはこちら→ブラックの間は融資審査は絶望的)
そのことから金融ブラックになってしまうと、消費者金融での融資はかなり絶望的と言って良いのです。一方で、申し込みブラックは、同時に何社も消費者金融等の金融機関に申し込んだり、短期間にたくさんの消費者金融や他の金融機関に申し込みしたりすると、消費者金融を始めとした金融機関で申し込みブラックとのレッテルを貼られてしまうのです。
しかしながら個人信用情報機関に申し込みブラックとして名前が登録されると言ったものではないようです。また、申し込みブラックとして一定の期間に亘って審査に通らないと言った決まり事も無いようですね。
その点において金融ブラックとは異なると言えます。申し込みブラックであるか否かは、信用情報機関に与信をかければ判明します。そして、消費者金融では必ず信用情報機関に与信をかけて調べます。
その際に短期間にたくさんの消費者金融に申し込んだ履歴が残っていれば、申し込みブラックと見做されて審査に落とされます。そして、多くの人が申し込みブラックを知らずにたくさんの消費者金融に申し込んでは落ち続けてしまうと言った場合があるのです。
つまり、知らないうちにいつの間にか申し込みブラックのレッテルを貼られてしまっている人がいると言うことなのです。そのことから返済等になにも思い当たる節が無いのに、なぜか審査に落ちてしまうような人はもしかしたら申し込みブラックになっているかもしれませんよ。
他方、一カ月間に申し込める件数は3件くらいと一般的に言われています。また、申し込んだ履歴は半年は残りますので、一度審査に落ちたら半年は期間を置いた方が無難です。
そして、消費者金融が申し込みブラックを嫌う理由は、「よほどお金に困っており、たくさん借りて返済できなくなるような人」と感じてしまうからなのです。そして、実際に申し込みブラックを要注意人物として警戒する消費者金融はたくさんあるのです。(参考ページはこちら→対応が異なる金融業者も存在?)
そして申し込みブラックも金融ブラックと同じようにどの消費者金融でも借りれなくなります。
消費者金融でどうすれば申し込みブラックになるのか
よく「ブラックリストにのる」という言い方がされます。ローンやクレジットの支払いで何度も延滞があったり、1度の延滞であっても61日間を超える長期にわたると「金融事故」と呼ばれます。この「金融事故」を起こした為にそれ以上新たな借入が断られてしまう状態を指すことが多いのです。しかし、そのような金融事故を起こしてもいないのに消費者金融に申し込んでも審査に落ち続けてしまう場合があります。これを俗に、「申し込みブラック」と呼びます。つまり、申し込んだ時点でブラックリストに載っているという意味合いです。
まずは「ブラックリストにのる」仕組みを見てみます。まず、債務整理(自己破産、個人再生、任意整理)や借入金の返済が滞るなどの金融事故があった場合、民間の「信用情報機関」にその情報が登録されます。主な信用情報機関は「株式会社日本信用情報機構(JICC)」、「株式会社 シー・アイ・シー(CIC)」「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」の3つで、新しくクレジットカードを作ろうとしたり、ローンを借りようとすると、ローン・クレジットの会社はこれらの機関にその人の情報を問い合わせます。そして事故の記録があると、審査が通らなくなります。
ですから、ローンの審査は、各金融機関が行っているというより、実質はこれらの信用情報機関が行っているといったほうが正確かもしれません。そして、この情報が残っている間は新規のローンの申し込みの審査が通りません。その期間は5年と考えていいでしょう。この期間が、いわゆる「ブラックリストにのっている」状態というわけです。この仕組みがないと、金融会社は借金を重ねて返済能力がない人に貸し出しをしてしまい、焦げ付くリスクが非常に高くなってしまうのです。
金融事故の最たるものはやはり借金が返せなくなって債務整理を行った場合です。自己破産、個人再生、任意整理といった債務整理を行うと、方法は異なっても債権者にある程度、借金を減額してもらうわけですから、貸し倒れリスクの高さでは最たるものでしょう。この場合、信用情報機関に情報が残る期間は5年です。その間は、もし借金を5年以内に返済したとしても新規のローン、クレジットカードの作成、キャッシングの申し込みなどは審査を通る見込みはありません。5年たっても、クレジットヒストリー(クレジットカードの支払状況)に影響が残る場合があります。
一方、なぜ金融事故を起こしてもいない場合でも「申し込みブラック」になるのでしょうか。この原因はローンを申し込むという行為自体にあるのです。実は、ローンを申し込んだ時点で、たとえ審査に通らなくても、そのことが先に書いた信用情報機関に情報として残るのです。ある会社でローンの審査に落ち、それでも「下手な鉄砲も数撃てば当たる」とばかり多くの会社に短期間に申し込むと、信用情報機関では、その人がお金に困っていて手当たり次第に借金を申し込んでいる、と解釈するのです。
これを身近な例に置き換えてみましょう。あなたが、ある人から借金を申し込まれたとします。「いますぐは貸せないが、ちょっと待って欲しい」と答えて周囲の人に聞いてみると、その人はあちこちの知人に手当たり次第に借金を申し込んでいるらしい、という情報を得られました。返してもらえないかもしれない人に、お金を貸してあげる人は多くいるでしょうか?
これが友人相手なら、「そんなにお金に困っているのか。返ってこないことを半分覚悟で貸してあげよう」となるかもしれませんが、金融会社がそんな貸し方をしていたら、貸付金があちこちで焦げ付いて倒産しかねません。金融会社にとって、信用情報機関の情報は企業の浮沈に直結する重要なものなのです。短期間に複数の会社にローンの申し込みをすると、貸し倒れリスクが大きい、と判断されて審査を通らないという仕組みです。ですから、3社くらいに申し込んで審査を通らなかった場合、もはや申し込みブラックになっていると考えて間違いありません。あとは何十社に申し込んだところで審査を通る見込みはまずないのです。信用情報機関に、ますます不利な情報が蓄積されていくだけです。
では、「短期間」とは何日で、「複数社」とは何社なのでしょうか。よく言われる目安が「一ヶ月の間に3社以上に」ローンを申し込むと申し込みブラックになる」というものです。これはあくまでも目安であって、明確な基準はないのです。それまでの返済状況が良好であるとか、社会的な信用のある勤務先で長く務めているといった良い材料があれば、一ヶ月の間に数社を申し込んでいても審査を通る可能性があります。逆に、2社にしか申し込んでいなくても、貸し倒れリスクが高いと判断されれば審査を通らない例もあるのです。
それでは、「申し込みブラック」になったら、もはやお金は借りられなくなってしまうのでしょうか。結論から先に言うと、最後の融資を申し込んでから一定期間が過ぎると、信用情報機関からその情報は消えるので、ブラックの状態でなくなります。先に書いた信用情報機関の団体である全国信用情報センター連合会(全情連)において、申込情報記録は「3ヶ月を超えない期間」と明記されているのです。つまり、3ヶ月の間、融資を申し込まなければその人は信用情報機関において、きれいな体(?)となると考えたくなります。しかし、これはあくまで最低限の期間ですので、半年は申し込まないのが確実、というのが業界関係者の話です。
しかし、複数の業者に申し込む人は、それだけ切迫した状況にある可能性があります。半年も待つ、などと悠長なことを言っていられない場合もあるでしょう。そういう時に目に飛び込んでくるのは、「ブラックOK」「身分証明不要」などの文字です。しかし、貸し倒れリスクが高く、身分証明もできない人にお金を貸してくれる業者とは、神か仏なのでしょうか。その正反対の可能性があります。いわゆる「闇金」です。
もちろん、「わが社は闇金です」と名乗る業者はいませんが、まともな業者はこのようなケースで融資をするとは考えられないことだということを頭に入れておく必要があるかと思います。いくら闇金とは言え、身分証明もない相手ですから、借りたまま行方とくらまされたら商売上がったりです。そこで、この種の業者はお金を借りた人に尾行・監視をつけることが少なくありません。これらの行為は無論違法なのですが、最初から闇金はイリーガルな存在である上に、他に融資してくれるところもないので、借り手は黙っているしかないのです。無論、借金は雪だるま式に増えていき、状況は悪化の一途をたどるでしょう。
このような事態になるのに比べたら、個々のケースに適した形で債務整理を行ったほうが数段まさると思われます。無論、様々な制約を受けるので、平坦な道でないことは確かなのですが、この場合は法のもとに保護されます。借金の取り立てに怯えることもなくなります。「身の丈を超えた借金をするのが悪い」というのは確かに正論でしょう。しかし、現代社会の様々な面での発達は、人間が知覚で実感できる範囲をはるかに超えていることが多いのです。現金以外の支払い方法は、自分がどれくらいお金を使ったのかを把握するのを非常に難しくしています。
むしろ、難しくすることによって必要以上の消費を促していると言ってもよいでしょう。そのような中で、借りすぎないようにするにはどうするか、というのは病気で言えば予防にあたります。一方、先に書いた知覚を超えた消費を誰でもしてしまう可能性がある以上、借り過ぎたらどうするか、というのは治療にあたると考えられます。どちらについても知っておくことが真の金融リテラシーにつながり、制度上の改正だけでなく、個人個人の認識の持ち方によって借金による悲劇を減らす道につながるのではないでしょうか。