突然大きな出費が必要となった時、必ずしも手元に十分なお金があるとは限りません。足りない部分を補うのに、知人や親族に頼る、というのも一つの手段ではあります。しかし、多くの金額を借りるのは難しく、また、周りからの評価を落としてしまう可能性もあります。そのような場合にお金を用意する手段として、消費者金融が挙げられます。

消費者金融、と聞くと、借金をするというイメージから、返済で生活が苦しくなってしまう等といった、あまり良い印象を持っていない人もいるかもしれません。しかし、金融会社は利用の仕方さえ間違わなければ、生活に困ってしまう事はありません。むしろ、利用する前の計画をしっかり立てていれば、心強い味方となってくれるのです。

消費者金融から融資を受ける手順としては、以下の通りです。まず、融資を受けるための申込みをします。次に、申込内容について、会社側が審査を行います。審査に通る事ができれば、契約が成立し、お金を借りる事ができるようになります。しかし、契約が成立しても、いくらでも自分が借りたいだけのお金を借りる、という事はできません。なぜなら、契約の際に、一度に借りれる額の上限が決まっているからです。これを決定する要因は2つあります。

上限を決定する一つの要因は、総量規制です。2010年に制定された、貸金業者に対する法律です。この法律が制定される以前は、借りれる額に上限が無いために、個人の収入に対してあまりにも多くの融資を受ける事ができていました。その結果、複数の会社から借金をしてしまい、債務がどこまでも膨れあがって、返済ができなくなる人が後を絶ちませんでした。このような事態を防ぐために、融資額に上限を設ける事になったのです。消費者金融は貸金業者であるため、この法律に基づいて年収による限度額を決定しています。

総量規制で定められている限度額は、一部のケースを除いて、個人の年収の3分の1です。この額は、契約をしたい1社だけに対する物ではありません。例えば、3社から融資を受けるというのであれば、3社の融資額の合計が年収の3分の1まで、という事になっています。限度額いっぱいまで既に融資をしている場合は、他の会社から新たに融資を受ける事ができません。これによって、お金の借りすぎを防いでいるのです。

しかし、実際に融資を受けた際、年収が結構高いのに、総量規制で定められた金額に届かない50万円ほどしか借りられなかった、という事も良くあります。なぜなら、総量規制は法律で定められた限度額であり、実際に会社と契約を結ぶ時に決める限度額とは別の物だからです。各会社が決める限度額は、年収だけで決定している訳ではないのです。

金融会社が契約での限度額を決めるもう一つの要因は、審査です。融資の契約に行くと、申込内容について会社による審査を受ける事になります。審査の基準は公開されていませんが、各会社によってまちまちです。無事、審査に通ると、契約が成立してお金を借りられます。しかし、どこでも最も重要とされるのは、最後まで返済できるかどうかという、お金に対する信頼性です。これを判断するための内容は大きく分けて、希望する融資の金額と個人の属性、そして信用情報の3つです。

融資の希望額を判断する際は、まず総量規制が考慮されます。どんなに大きい金額を借りようと思っても、総量規制を超えた金額を融資する事はできません。総量規制で定められた金額を超えた融資を行うと、会社は処罰を受ける事になるからです。他の金融業者からお金を借りていないか、事前に調査します。すでに別の会社で融資を受けていると、金額によってはお金を借りる事ができなくなる事に注意しましょう。

次に調査するのは、個人の属性です。融資を申し込んだ人間がどのような人物であるかをチェックします。属性というのは、氏名や年齢、勤務先とそこでの勤続年数、住所と居住形態等の個人の生活に関わるものです。これらの事を総合的に見て、どれだけ支払い能力があるか、収入が安定しているかを判断します。

例えば、会社に入社したての若い人は、年収も少なく、生活の余裕もあまりない事が多いので、働き盛りの年齢の人と比べると、返済能力が低く評価されてしまう事があります。また、近年では大手の会社に勤務しているからといって、必ずしも好評価を得られるとは限らなくなっています。中小企業であっても、同じ場所で長く働いている方が良い評価を得やすいです。他にも、持ち家の状況や、既婚者であるかどうかも返済能力を判断する材料となります。

信用情報では、お金に対する責任感を見ます。信用情報とは、個人がローンやキャッシング等で、今までどこの会社と契約をしたのか、契約した会社からどのくらい借りたのか、支払いがきちんと行われていたか、というような融資に関する情報です。金融機関はこの情報を参照して融資を決定する判断材料にしています。お金を貸すならば、最後まで返済できる人間にしたいからです。今まで返済が遅延してしまった事があれば、評価が下がってしまいます。あまりにも悪質な事柄があった場合は、そもそも審査に通らなくなる可能性もあります。

これら3つから、返済能力と信頼性を評価し、契約できるかどうか判断します。信頼できると認められ、無事に審査に通る事ができれば、最終的な融資額の限度が決定されます。ただし、審査に通っても、融資の限度額は希望額通りであるとは限りません。思ったよりも低い金額までしか借りられない可能性もあるという事を忘れてはいけません。

限度額が少なかったからといって、今後もこのまま変わる事がないのかというと、必ずしもそうとは限りません。限度額を決定しているのは会社で行われている審査です。限度額の増額を申し込んで再び審査を受ける時に、会社に対する信頼性が高くなっていれば、限度額を上げる事ができます。つまり、これからの行いによって、会社に対する心証を良くする事が、上限を増やす事につながっていくのです。

まずは、申込内容で嘘をつかない事です。嘘をつく人間が信頼されないのは当たり前の事です。申込内容の中につじつまの合わない部分があると、信頼性を疑われてしまいます。自分の事を正直に表す事が、信頼関係を築く一番の方法です。なるべく正確な情報で申込みを行うようにしましょう。

次は、年収を上げる事です。年収が増加すれば、当然総量規制による限度額も増えていきますが、月々に支払う事ができる金額も増える事になります。余裕を持って支払う事ができる金額が増えたという事で、会社に対する印象が良くなります。しかし、これは簡単にできる事ではなく、また、かなりの時間も消費するため、あまり現実的な方法ではないかもしれません。

もう一つは、借りたお金を期日までに返済するという実績を積み上げる事です。お金を貸すのにあたって重要な事は、貸す相手が信頼できる人間である、という事です。この「信頼」というのは、金融業者においては、一度もお金を借りていない、という事ではありません。たまたまお金を借りる機会がなかっただけで、実際に借金をしたら期日までに返せない、お金に対してだらしのない人間だった、という事もあり得るからです。お金を借りても、毎回期日までに支払う事ができれば、評価はプラスになります。また、期限より早く支払ったり、分割払いの場合は一度の返済額を少し多めにする事でも評価は上がります。地道に評価を上げていけば、限度額を増やせます。

お金の貸し借りには、お互いの信頼関係が最も重要です。約束を守る事ができなければ、本当にお金が必要になった時にお金を借りる事ができません。金融会社は、お金に対する誠実さを見せていれば、いざという時に頼りになる存在です。消費者金融でお金を借りる際は、返済までの計画を事前に立てて、信頼関係を崩さないように上手に利用する事を心がけましょう。