消費者金融が事業者ローンを扱っていると言うのは、なんとなく言葉に矛盾があるように感じますが、以前はあった事業者向けの金融業がほとんどなくなってしまったために起こっている現象と言えます。以前あった事業者向けローンは大変金利が高く、グレーゾーン金利の撤廃とともに、ほとんどがなくなってしまいました。現在は利息制限法の例外扱いになっている日払い業者ある程度残っているだけです。その後の貸金需要をすべて銀行だけで満たす事ができれば問題ないのですが、もちろんそういうわけにはいかず消費者金融が力を入れて事業者ローンを行っているわけです。また自営業などの事業主向けのキャッシングは貸金業法の定める総量規制の対象外になるので、年収に対して大きな貸付をする事が出来るので、貸金業者にも大きなメリットがあり、貸金業法改正で貸出額が減った後の業者には重要な貸出先となっています。

事業者ローンとは一般の人へ貸付と違って、事業性の資金としても利用できます。しかも事業用専用ではなく、一般的な消費に使ってもいいのです。これは家計と事業費の区別がはっきりしにくい小規模な自営業者では現実的で利用しやすい仕組みと言えます。給与生活者と違って自営業者の場合資金がなければ仕入れができなくなったりして、営業が成り立たなくなる場合もあり、常にある程度以上の事業用の資金が必要です。また逆に収入以上の売り上げがあるのは当然ですから、売り上げによって短期間で借入金を返済できる事が多く、高金利な借入金でも利益が上がっている限りは問題なく借り入れ返済を繰り返す事が出来るわけで、その点一般的な消費者とは違っています。この様にむしろ自営業などの事業主こそがローンを上手く利用できるわけです。

またビジネスローンを利用する場合には、気をつけるべきこととしてたまに悪徳業者がいると言うことがあります。悪徳業者は審査が通らなかったが保証料として50万円先に振り込んでくれれば融資する、保証料は3ヵ月後に返金するなどと言ってきたりしますが、良く考えればおかしな話ですし、貸金業法で金利以外はATM手数料しか請求できないとなっていますので、そういう不明瞭な金銭を要求された場合、法律に違反していることになります。一部でも違法行為を行っている業者は決して信用できませんの、冷戦に考えて対応してください。

また10万円で他業者に紹介すると言うようなことを言われる場合もありますが、他の業者を紹介して紹介料を貰うのも違法行為ですので、決して従わないでください。紹介料だけ支払って。結局は何もしてくれません。基本的に一般的な個人向けの悪質な違法金融と同じですが、個人向けよりも保証金などの話にむしろ乗りやすいのが事業主ですので、本当に注意してください。おかしな話は利用しないのが一番ですが、一見おかしいところがなくてもどういう金融業者なのか良く調べてから利用することをお勧めします。違法業者は必ず長くは営業していませんので新しすぎる開業から1,2年の業者は避けるのも良いかもしれません。。またネット上に悪い噂があれば、それはもうやめた方が良いかもしれません。

事業者ローン、あるいはビジネスローンでメリットはあまり細かい使い道などは申告する必要がなく、申込から借り入れまでは速いなどです。細かい事業内容や、事業計画を申告する必要がないので、個人の自営業などでも簡単に申し込めますし、融資までは速いので困ったときにも直ぐに対応できます。特に小口の事業では、急な資金が必要なりそれが用意できないとビジネスチャンスを逃してしまうことも多くありますので、そういうスピードが必要な融資に適しているといえます。

しかしその反面大きなデメリットとして金利が高い事が上げられます。事業者ローンでは通常利息制限法の上限いっぱいの金利である事が多く、一般的な消費者金融と同等の高金利となっています。100万円以下の融資では年利で18.00%です。これは以前のグレーゾーン金利の頃と比べれば随分安い、いわば良心的な金利ですが、それでも公的な融資や銀行融資に比べれば非常な高金利と言えます。短期間の借り入れでも利益のうちかなりの分を借り入れ金利に使ってしまう事になるかもしれません。この点は非常に大きなデメリットであると言えます。ですから借りるときは本当にビジネスローンでいいのか良く考えて利用する事が重要です。申込が手軽で簡単だと言う理由だけで選ぶのは事業者としてあまり言い選択ではないと言えるでしょう。時間的に余裕があるのなら、公的融資、銀行、ビジネスローンの順番で検討するべきでしょう。

公的融資では申請の仕方が良くわからないとか融資まで時間がかかるとか色々と面倒な事がありますが、その反面、利子が非常に安いのです。年利で1％から5％くらいで借りられる事が一般的です。この金利差はそのまま利益の差になるわけですから面倒がらずに利用する事が重要に成ります。また一旦ビジネスローンを借り入れた場合でも、その後公的融資などに借り替えることも検討すると良いでしょう。公的融資を利用する場合にはNGOなどアドバイスしてくれる団体もありますのでそういうところに相談してみるのもとても有用です。また返済の軽減などの相談にも乗ってくれ、費用もかからないところがありますので、そういう相談も利用するといいでしょう。

銀行での融資もビジネスローンに比べれば低金利になります。銀行は様々な形態での融資があり公的融資も銀行が窓口になっている事も多く、銀行で相談することで事業内容に向いた融資を紹介してくれることも期待できます。銀行融資は事業計画や事業内容が必要になる事が多く、ビジネスローンに比べれば審査そのものも時間がかかり、厳しい物ですがその分金利も安くなります。また大きな借り入れにも対応できる場合があります。銀行ローンもやはりビジネスローンからの借り換えが考えられます。しかし借換えが上手くいかない場合もあります。消費者金融系の場合金利は高いのですが比較的長い期間で返せるだけ返済していくことが出来ます。銀行の場合金利が低くても返済期間が短く短期間で利益の出る繋ぎ資金などではいいのですが、設備などに使った場合直ぐには返済できない場合もありますので、その場合は金利が高くてもゆっくり返済していくしかないと言うことになります。

また事業性の資金には利用できませんが、銀行のカードローンを利用して生活費を借りると言う事も考えられます。事業資金に使わないので事業計画などは必要なく、比較的簡単に借りることが出来ます。もちろん銀行ですので総量規制の対象外になりますので、年収に対して比較的大きな金額を借りることが出来ます。これは起業直後の個人事業主に人には審査が難しくあまりおすすめできない方法ですが、逆に既に長く営業している人には悪くない方法でもあります。銀行の事業者向け融資と比べて申し込みが簡単で、収入証明書だけ用意すればよく、個人事業主なら前年の確定申告の控えだけ良いことになります。利用目的も生活費などですから、細かく説明する必要はなく簡単に借りられるだけでなく、ある程度まとまった金額ならビジネスローンなどに比べてもむしろ低金利で利用できるので、審査が通るのなら決して悪くないと言えます。

ただし銀行カードローンは事業性資金には使えませんので、あくまで生活費にしか使えないので申告上なども気をつける必要があります。しかし銀行のカードローンは個人向けの融資で審査がとても速く、審査30分と言うものもあり、多くは即日融資が可能となっています。そういう意味でとても手軽で金利も安いとなれば利用するのも良いと思います。ただ審査は厳しいと思いますので、特に起業して2年以上経っていない人は難しいと言えるかもしれません。

【参考ページ】
自営業がお金を借りるコツ