銀行からお金を借りようと思うんですけど、消費者金融でも借金してるんです。これって銀行側が知ったらお金を貸してくれなくなりますよね?銀行と消費者金融って情報の交換ってしてるんでしょうか?また、もし、つながりがあるならどういうとこでつながってるんでしょうか?(参考ページはこちら→金融業者同士は関係しあってる?)
情報交換はないが返済が滞った時には連携
消費者金融と銀行の間には情報の上では全くつながりはありません。それは銀行系の消費者金融とその親会社にあたる銀行との間でも同じことです。たとえば三井住友銀行と提携しているプロミスですが、プロミスで借入したとしても三井住友銀行にはその情報は流れてきません。逆に銀行で借り入れてもプロミス側には何ら情報は入ってこないのです。
では、銀行と消費者金融の間にはつながりは全くないのか?と言うとそうでもないのです。普通の消費者金融ですとつながりはありませんが、銀行系の消費者金融に関しては十分につながりがあると言っていいでしょう。
たとえば先述の三井住友銀行とプロミス。三井住友銀行で借り入れたお金を返済できなかった場合、債権はプロミスに移行します。債権がプロミスに移行するということは、その後の返済はプロミスへすることになりますし、取り立てもプロミスから行われることになるでしょう。この関係は他の銀行とその提携消費者金融でも同じようなことが言えます。そう、銀行系消費者金融は銀行の保証会社のような役割を果たすのです。
(⇒これは融資審査にどう関係する?)
また、銀行はもともと貸金業は得意分野ではありません。そのため、提携した消費者金融から貸金業のノウハウを学び取るということもしています。その結果、銀行もキャッシング業界で、利用者のニーズに合ったサービスを少しづつ打ち出してこれるようになりました。これからもどんどん、消費者金融の持つ独特なサービスを取り入れていくことでしょう。
(⇒銀行のサービスにも消費者金融が関係している?)
ここまで見ていると、銀行だけが得をしているようですが、実はそうでもありません。消費者金融側にも銀行と提携するメリットはあります。それは顧客獲得に有利になるという点です。
銀行がバックについているということは信用面で顧客が安心できる会社になるということ。それだけ銀行の存在は大きいと言うことなのです。銀行系である、それだけでも消費者金融側にとっては大きなメリットになっていると言えるでしょう。
また、銀行系になることで、消費者金融でも大きな金額を貸出しできるようになります。実は、消費者金融には【総量規制】と言う法律が適用され、借り入れる人の年収の3分の1以上の金額の貸し付けを禁止されているのです。が、これは銀行には適用されていないため、銀行系の消費者金融も、総量規制に関係なく貸し付けが行えます。大きな金額を借入れしたいけれど銀行は敷居が高い!そう思っている顧客はすべて銀行系の消費者金融に頼らざるを得なくなりますので、自然、顧客獲得のチャンスが増えてくるのは当たり前と言ったところでしょうか。
このように、消費者金融と銀行は持ちつ持たれつの関係なのですね。
消費者金融と銀行のつながりはいろいろな面で強い
消費者金融と銀行のつながりはいろいろな面で強固になっています。かつては独立した金融機関として経営を行っていて、どちらかというと融資のターゲットが異なるために、同じ金融業と言っても棲み分けが行われていたといえるでしょう。
銀行は信用力の高い人に貸し付けることが主な業務だと考えられます。信用力の低い人は銀行から借りることができず、そのために消費者金融から借りなければならないというのが、過去の一般的な考え方でした。そのため、消費者金融というと、あまり良いイメージを持たれなかったものなのです。
かつてはこのように、お客さんが異なるという点で棲み分けが行われていたのですが、この場合でもつながりはありました。まずお金の流れを考えてみましょう。銀行が融資を行うときには、基本的には自己資金で行います。消費者金融が融資を行うときには、自己資金で行うこともありますが、銀行から借りてくるケースが多いです。規模が大きくなれば、借りた資金を貸し付けた方が利益の拡大につながるからです。
多くの企業は銀行からの借り入れを行って経営の規模を拡大させているのですが、消費者金融も同じように借入を行ってきたといえるでしょう。この関係であれば、消費者金融と銀行が特に密接につながっているとはいえません。しかし、現在では業務を提携するという形でのつながりがあります。
最近になって銀行がカードローン事業を行っていることを多くの人はご存じでしょう。すでに述べましたように、銀行はどちらかというと信用力の高い人に対する貸付を行ってきました。住宅ローンなどがその例で、住宅ローンを組むことができるのは正社員として働いている人など、収入の安定した人である場合が多いのです。信用力の低い人は銀行からお金を借りられないというのが、かつての常識でした。
しかし、現在では信用力の低い人でも銀行カードローンを利用することができます。これは、消費者金融が業務提携を行っていて、実質的には消費者金融がノウハウを提供しているからだと考えられます。お金を貸すという事業なのですから、どちらもそれほど違いはないと考える人もいるでしょう。しかし、お金を貸す上で最も大事なのは審査を行ったり、あるいは回収業務を大古なったりすることです。
(⇒今は正社員で無くとも融資は受けられる?)
審査は融資において最も重要な部分だと考えられます。もしも返済がなされなかった場合には、それが経営体力を奪って破綻に追い込まれる可能性もあるのです。そうならないようにするためには、いろいろな情報を駆使して審査を行うことが必要とされます。銀行の場合、信用力の高い人に対して融資を行っていました。返済されない人をはじくことによって、返済を確実にしてきたと考えられます。
消費者金融の場合には、基本的な考え方が異なります。信用力の低い人に貸し付けるわけですから、その一部は返済されないという前提で融資が行われます。返済されなければ、その資金はそのまま損失へとつながりますから、それを埋め合わせるだけの収入が必要となります。消費者金融は利息収入が主なものですから、返済されなかったとしても高い金利を設定していればカバーできるのです。
ですから、信用力が著しく低い人には貸付を行いませんが、そこそこの信用力があれば消費者金融は貸付を行います。それによって全体としての収益が見込めるからです。このような審査に対する考え方が異なりますから、銀行としては信用力の低い人に対して貸付を行うことは、長い間できなかったのです。現在もできているのかというと、実はそうではありません。
銀行はカードローン事業を行って、信用力が低い人に対しても貸付を行っています。ノウハウを持たない銀行がこのようなサービスを提供できるようになったのは、消費者金融と業務面でのつながりを持っているからです。まず、銀行がカードローンを行うときには、銀行が審査を行うとともに、つながりのある消費者金融も審査を行います。これによって、消費者金融のノウハウを利用できるわけです。
消費者金融は審査を行った以上、もしも返済がなされなかった場合には責任を取って代わりに返済をします。こうすることによって、銀行は審査を丸投げできるわけです。その代わりに、手数料として保証料を消費者金融に対して支払います。消費者金融としては、保証料によって利益を得られるのですから、それによって経営を成り立たせることができるのです。
業務面でのこのようなつながりを保証と呼びます。消費者金融が保証業務を行うことによって、銀行は信用力の低い人に対しても貸し付けることができるようになったのです。最近になって銀行がカードローンのサービスを提供するようになってきた背景には、保証業務を消費者金融が拡大させていることが原因の一つです。
もちろんですが、ニーズが増えてきたことも原因の一つだといえるでしょう。多くの消費者はいざというときのためにカードローンを持っておきたいと考えているようです。景気の安定しない時代ですから、このように考えるのは無理もないでしょう。ただ、現在でも消費者金融に対するイメージはそれほどよくありません。そのために、銀行のカードローンに対するニーズは高まってきているといるのです。
銀行としてもカードローン事業が収益の向上につながることを知っているのですから、積極的にサービスを展開するようになってきています。その際に、つながりのある消費者金融を利用しているとも考えられるのです。このようなつながりは、業務面での提携という形で行われていますが、規模の大きい銀行の場合には資本面でも提携を行っています。
資本提携というと、簡単に言えば買収です。買収して子会社化することによって資本提携がなされているのです。つながりのある銀行と消費者金融は、元々株式の持ち合いなどの形で資本提携は行われていたようです。しかし、現在では銀行が消費者金融の株式を一方的に保有するという形をとっているケースが多いです。
たとえば、日本で最大規模を誇る三井住友フィナンシャルグループはプロミスの株式を取得して完全子会社化しましたし、三菱UFJフィ七社ルグループはアコムの株式の多くを取得して連結子会社化しました。新生銀行は、消費者金融のレイクを完全子会社化し、レイクのブランドで現在はカードローンのサービスを提供しています。
このようにして資本提携が進んできた背景には、銀行の収益悪化が大きく影響していると考えられます。金融危機による影響などもありますが、景気の悪化によって企業の資金に対するニーズが減少し、銀行の融資額は小さくなったのです。これによって企業に対する融資による収益は悪化しました。
銀行としては収益源を求めていた時期だともいえるでしょう。そのために、いろいろな業界に参入していきます。たとえば、証券や先物の取り扱い業務を開始するものもありましたし、保険の取り扱いをするものもありました。証券会社を子会社に納める銀行も登場し、金融関連のいろいろな業界へと手を広げていくのです。その矛先の一つがカードローン事業だといえるでしょう。
景気が悪化した時期であっても消費者金融は貸付を増やしていたのです。しかし、この時期に過払い金の返還や法律の改正などによって、消費者金融の経営体質が危ぶまれます。この時期に、銀行による消費者金融の買収競争が始まったのです。式にを投入して子会社化するということが行われ、つながりはいっそう強まったといえるでしょう。
たとえば、消費者金融大手のプロミスは、三菱UFJフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループとの間で争奪戦が行われました。最終的には三井住友フィナンシャルグループの傘下となりますが、このような買収はいろいろな銀行が行ったのです。そして、現在でも消費者金融事業は銀行の重要な収益源となっています。