消費者金融を利用するというような場合には、必ず消費者個人に対して与えられる「限度額」を常に考えていなくてはなりません。限度額は消費者の収入や、それまでの金融機関などの利用によって蓄積された信用によって決定されることとなります。収入が多い人ほどこの限度額は高い水準になり、また収入が比較的少ないというような人であっても、信用が蓄積されているのであれば限度額は高い水準まで引き上げられることとなるでしょう。

この限度額は消費者金融の利用を申し込み、審査を受けた段階で決定されるものです。審査が完了した際、それぞれの消費者は利用できる権利を受け取るとともに、「いくらまで貸し付けをしてもらえるか」という限度額の設定を聞くこととなります。

さて、限度額はその消費者が借りられる金額の限界を示す数値なわけですから、その限度額以上に借入をするというようなことはできません。ですがこの限度額は借入と返済を繰り返していくことによって、増額をしてもらうこともできるのです。それでは限度額を増額するには、どういった条件を満たすことが必要なのでしょうか。

まず最初に知っておかなくてはならないこととなるのが「増額の条件はそれぞれの業者によってそれぞれ異なる」ということです。ある業者で増額をしてもらうことができたとしても、別の業者からではそのタイミングでは増額をしてもらえないということも十分に考えられます。この「業者によって増額の判断は異なってくる」ということを理解していないと、「いつ増額してもらえるのか」ということを考えることはできません。

では増額の条件として考えられるものにはどういったものがあるのかと言うと、まず最初に条件となりえるのが「信用のレベル」です。ここでいう信用のレベルとは、先にも述べたような「借り入れと返済を繰り返すことによって蓄積されてくるもの」ということになっています。これは借入の金額が大きければいいというようなものではなく、少額であっても「長期的にお金を借り入れており、それを遅延などもなく返済をしている」というようなことを継続的に行うことが重要になってきます。

「10万円を借りて返済したことがあるが、それ以外の借入はしたことがない」というような人と「1万円の借入をこまめにしているが、それ以上の金額の借入をしたことがない」というような人がいたというのであれば、後者の方が増額はしてもらいやすいでしょう。

次に増額の条件として考えられるものには「収入レベル」があります。現代の社会では様々な法律が存在していますが、こうした消費者向けの融資を主に行っている業者は「貸金業」という業種に分類されることとなります。

この貸金業者は貸金業法と言う法律に制限を受けることとなるのですが、貸金業法の中には「総量規制」という消費者向け融資の規制が存在しているのです。この総量規制においては「消費者向け融資は融資を受ける消費者の年収の1/3以下とする」というような規制がかけられています。これはかつての日本において、多重債務状態などに陥ってしまったがために自己破産などの手段を選択するしかなかった消費者が非常に多く存在していたため作られた規制です。

この総量規制が無かったころは、消費者に対して「いくら融資をするか」ということが消費者金融の判断に任せられていました。しかしそういった状況では消費者が本来返済できる範囲を超えた借り入れを可能となってしまうため、総量規制のような法律による制限が必要となったのです。これがあるため、消費者向け融資の限度額は「年収の1/3以下まで」というような制限が加わることとなります。

ですから年収が100万円の人は約33万円以上の借入をすることができないということになってしまうのです。そのためもし年収が増え、それを業者に対して申告したのであれば、増額をしても問題ないと判断してもらうことが可能となるのです。

さて、消費者金融を利用する際の限度額については大きく分けて「収入」と「信用」の二つの条件を満たすことが必要と言うことになったわけですが、こうした条件を満たしたからと言ってすぐに増額がされるというようなことはありません。基本的にこうした限度額は「貸し付け条件の一つ」として考えられていますから、増額は「貸し付け条件の変更」が必要になります。そういった貸し付け条件については、法的に拘束力を持つ契約書によって規定されるものですから、変更をするというような場合には業者と消費者の双方の合意が必要になってくるのです。

ではどのようにすればこの合意をすることができるのかと言うと、基本的には「業者からの連絡を待つ」、もしくは「自分から業者に対して増額を希望する」ということが必要になってきます。現代営業している業者の多くは、消費者に対して告知をする際には消費者の携帯電話に対して連絡をするようになっています。増額ができる段階になったというのであれば、業者は消費者の携帯電話に対して電話をかけて「増額ができるようになりました」という旨の連絡をすることになっているのです。

この連絡がきた時や、連絡が来た後に「増額をお願いします」というように消費者が伝えたのであれば、そこから増額審査が行われ、その審査に合格した段階で増額が行われるようになっているのです。場合によっては自分から増額を申し込むことによっても増額をしてもらうことができますから、債務者自身が「自分は収入も問題なく、信用の蓄積もされている」と思うのであれば、窓口などに申し込みをしてみるのもよいでしょう。

この「増額審査」という言葉で多くの消費者が思いつくのが、契約の段階で受けた「審査」です。この利用審査では消費者が業者に対して住所や氏名、電話番号やその他の債務状況などといったような情報を伝えて行うこととなるのですが、増額審査はこの利用審査とは少し異なった形で行われます。もともと利用の段階で本人確認や在籍確認が済んでいるのですから、そういった確認が改めて行われるということはあまりありません。

基本的には信用情報を照会して情報の変更が発生していないか、また別の業者で金融事故などを起こしたことはないかというようなことがチェックされるようになっています。また増額審査が行われるということは、収入や信用が問題ないということになっているわけですから、この増額審査に落ちるというようなことも殆どないでしょう。

ただここで注意をしなくてはならないのが「情報の更新があったにもかかわらず、それを申告していなかった」というようなケースです。例えば引越しをして住所が変わっていたというような情報を伝えていなかったというような場合には「情報の更新を申告しなかった」ということによって信用が下がることがあり得ます。

さらに問題となるのが「職業が変わっていた」というような場合です。これは特に契約をした後で転職をしたり、失業して再就職をしたというようなケースが該当してきますが、勤め先というものは「収入を証明するもの」として非常に重要な意味を持つ情報になっています。そうした情報が変化していることを伝えなかったわけですから、信用は著しく落ちるということになってしまいますし、場合によってはその人に対する増額審査自体が問題になってくるケースもあり得ます。そのため情報を正確に連絡していなかったというような場合には、例外的に増額を断られることもあり得るのです。

消費者金融をより便利に利用したいというのであれば、消費者は自身が業者から信用をされているということを前提に考えなくてはなりません。変更された情報を伝えていないというようなことになったり、返済期限や利息などの返済条件を忘れてしまったというようなことになってしまったのであれば、その消費者に対して与えられた信用は著しく傷ついてしまうこととなります。増額が必要な時に断られてしまわないよう、利用の際には十分に注意するように心がけましょう。